これは韓国どころか世界レベルで愛の傑作、『私の頭の中の消しゴム』。
チョンウソンとソンイェジン。
若年性アルツハイマーになる妻と、それと向き合う夫の愛の物語。
めちゃくちゃカッコいいチョンウソン。
めちゃくちゃ綺麗なソンイェジン。
もうこの時点で文句なし。
絵に描いたような美男美女の幸せな夫婦の愛の物語、、、、だったら世界レベルの傑作にはならない。
若くして物を忘れていく、その名の如く若年性アルツハイマー。
“肉体的よりも精神的な死が先に訪れる”
この絶望感たるや。
過去の駆け落ちが未遂に終わり、落胆していた矢先の出会いがチョンウソン。ぶっきらぼうな建設現場の現場監督。ガテン系。
それから2人の関係は深まり、結ばれる。
そんなら幸せの絶頂に訪れる絶望。
最初は些細な兆候、しかし、それをキッカケに病院へ行くことで得てしまう確信と絶望。
「私の頭の中に消しゴムがあるの」
何とかするとか、どうにかなるとか、頑張るとか。もはやそういう次元の話を超える病。
しかし、途方に暮れていても、それは待ってもくれず次から次へと彼女の頭の中から色んなことが消えていく。
彼女の中で、様々なことが混濁し始め、混沌とし、確実に失われていく記憶。
それは彼女自身が喪失していくことであると共に、彼女と共に暮らす彼女から写される相手の彼の喪失にもなる。
一緒に絶望し、落胆してでも生きていこうとする2人の、愛が故の恐怖と絶望に向き合う究極の愛の物語。
このコンビニのコーラの横取りで恋が始まり、何を失おうと、悲しみに暮れ姿を消そうと、探すな忘れていくんだからお前も忘れろと言われようと。
最後もそのコンビニのコーラ横取りに帰ってくるところがもう、もう。
これほど切なく、無情で、悲しく、純粋で、剥き出しで、大きな愛の形はなかなかない。
この病自体は何とも残酷極まりないが、決して諦めなかった2人の強い意志と気持ちがいっぱい詰まったラブストーリーの傑作。
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