SUMMER

本日公休のSUMMERのネタバレレビュー・内容・結末

本日公休(2023年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

ポスターのまんま、本当に良い作品だった。
どこか似たもの同士の元娘婿と主人公の関係が良く、最後に元娘婿の再婚に心からの祝福を伝えられたのは、常連客であった恩人への散髪出張が大きなきっかけだったのだろう。
最初は子供達の忙しなさといつも通りに理容室を営む世話焼き(おせっかいな)母親との対比がありつつも、散髪出張を経て、確実に変わりつつある時間を丁寧に描いている。
散髪出張の行き先々で、農業を営む若い男性にお茶をご馳走になり青空散髪をするシーンも良かったけれど、田んぼの畦?に落ちてしまったのを助けてくれたのが、かつて理容店に通っていた青年だったりと縁というのは巡っているのだなとしみじみ感じた。
町の人がお世話になった歯科医が、なぜ彼女にとっての恩人だったのか、歯科医の子供達に手伝ってもらいながら"いつものように"散髪をしながら語るシーンは、誰かにとっての誰かは恩人であるというのを感じ、涙が出てしまう(思い出して今打ちながら泣いてる)。
その後、子供達もそれぞれまた別の道への選択をしながら、彼女は今日も鋏を動かしながら常連客と語り合う。
何気なくも愛おしい時間を過ごせる幸せは、きっと客観的に見ているからそう感じるのかもしれない。
それでも、そんな時間を自分の生活の中にも見出せたらいいなと思った。
彼女が出来て髪型に気を遣う男の子が母親に叱られながら、もっと短くしてと押しかけてきて泣きながら髪をバリカンで刈られるシーンや、赤ちゃんの初めての散髪で「あなたで三代目」と大泣きしている赤ちゃんに声をかけるシーン、猫のいる昔ながらの理容店、理容室へと続く石橋、帰り道に流れる主題歌良すぎる…、師匠の教えを守りながら若き日の主人公と一緒に修行した仲間と車で出掛け、海岸ではしゃぐシーン………他にも良すぎて、何度も観たくなる。
俳優陣も、映像も、音楽も素晴らしく、何より「本日公休」というタイトルが最高に合う素敵な映画です。