なつこ

未来は裏切りの彼方にのなつこのレビュー・感想・評価

未来は裏切りの彼方に(2019年製作の映画)
3.6
第二次大戦末期。
脱走兵と爆弾を作る工場で働く妻。
上手くやれていると思ったのも束の間、彼が脱走兵だと知る女が現れ、風向きが変わっていく。そして戦況も。

観てて辛くなるのは、彼らの中に本当の悪人がいないから。
社長も嫌なところ沢山あるけど、会社の将来が安泰だったらきっと普通の人だ。根っから嫌な奴じゃない。

キャットも別に悪人でも嫌な女でもなくて、あの時代に自分を守るために、自分にとって生存率の高い方を選択して生きてきただけ。良い人だって死んだら終わりだ。

仲が良かったはずのあの女性も、予定通り旦那さんが帰ってきてたらあんな妬み嫉みの塊にはなってなかったと思う。

物語を動かしてるのは男たちだけど、戦時下の鬱屈とした毎日を、したたかに精一杯生きる女性たちの映画だと、私には思えました。

ラスト走り去った2組の女性たちに、対照的な強さを見た気がします。
動く強さと、耐える強さ。
諦めずに生きる強さが眩しいラストでした。
なつこ

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