おそば屋さんのカツカレー丼

碁盤斬りのおそば屋さんのカツカレー丼のレビュー・感想・評価

碁盤斬り(2024年製作の映画)
4.5
白石和彌の最新作のキーワードは「碁」と「時代劇」いうことで、まるで江戸時代版の『孤狼の血』みたいに、碁盤を挟んでの、人間同士の腹の探り会いや謀略合戦が展開されたり、碁を打つ手付きを官能的に写し、とてもウェットな作品づくりがされたのかと思いきや、男同士の友情が碁のやり取りを重ねるごとに芽生えていくという、なんともカラッとした爽やかな展開には正直驚いてしまった。とはいえ、それよりも驚いたのは、白石和彌がよっぽど時代劇を撮りたかったんだということが随所から伝わってくる、こだわり抜かれた美しいカットの数々のあまりの素晴らしさである。特に格之進が敵である柴田の首を落とすカットや、所々に見られる桜などの花々の撮り方は惚れ惚れするほど魅力的だ。
とにかく多くの点において、良い意味で期待が裏切られまくった、見事な時代劇エンターテインメントであった。