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碁盤斬りのHKのレビュー・感想・評価

碁盤斬り(2024年製作の映画)
4.0
先週の『鬼平犯科帳 血闘』に続いて新作時代劇を連続鑑賞。
ただでさえ製作数の少ない時代劇が2本立て続けに劇場公開されて、しかも2本ともとても楽しめる作品で嬉しくなりました。

本作は脚本の加藤正人が古典落語の『柳田格之進』を小説化したものの映画化だとか。
監督は『虎狼の血』『死刑にいたる病』などの白石和彌。
やはり王道時代劇でしたが『鬼平~』とはまた違うタイプ。
あちらは警察の精鋭部隊VS凶悪強盗団を背景に個性的なキャラたちが描かれた活劇でしたが、こちらは冤罪により藩を追われた浪人の意地と誇りを賭けた生き様がじっくりと描かれます。

主人公の柳田格之進は囲碁の達人にして剣術の腕も大したもの。
私は碁はさっぱりわかりませんが、お話の方はとっつきやすく十分楽しめました。
落語が基なのでもっと笑わせに来るのかと思ったらさにあらず。
清廉潔白を旨として生きてきたはずの主人公に次から次へと災厄が降りかかるという、意外にも大真面目に人の生き方について描いた作品でもありました。

主人公を演じた草彅剛も今年50歳と知ってビックリ。
なるほど22歳の娘がいる設定でもなんら問題ナシということか。
しかし『鬼平』の松本幸四郎もほぼ同じ年齢ながら、あちらは金持ちのボンボン、草彅剛の方は痩せ浪人がピッタリと雰囲気が正反対なのも面白い。

しっかりものの娘役の清原果耶が美人すぎないのもイイ感じ。
逆に時代劇に出るとイケメン度が増すように思える高川大志は今回の頼りない感じも似合ってます。
いまや貫録の小泉今日子に今回は憎々しい悪役の斎藤工。
そして本作の一角を担っているとも言える大ベテランの國村隼、皆さんさすがです。

これからももっともっと面白い時代劇を作って欲しいものです。日本ならではのモノなんですから。
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