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碁盤斬りの440のレビュー・感想・評価

碁盤斬り(2024年製作の映画)
4.7
悪人を成敗する事で
罪のない人を不幸にする

これまた人間臭くて壮絶な時代劇だったな。
余韻も最高に良い。
いつもはエグ味の強い白石和彌監督ですが、今作は重厚感ある人間ドラマな感じでした。

長屋に娘お絹と質素な生活をする浪人 柳田。
寡黙な男だが曲った事は大嫌い。
正義感の強さから恨まれ、衝撃的な真実を耳にしてしまう。
しかも同時にあらぬ嫌疑をかけられ崖っぷち状態。
過去の清算をするためある男の元に向かうというお話。

これキャストが本当に素晴らしい。
草彅君の寡黙で心を見透かすような目が印象的。
そんな柳田が徐々に感情を剥き出しにしていく様は抑えられない狂気をひしひしと感じましたね。
國村隼や斎藤工、音尾琢磨、中川大志のイメージを裏切る配役も作品を面白くしてたし、小泉今日子や市村正親も良い。
そして今回も清原伽耶ちゃんに持ってかれたなぁ。
圧倒的存在感と「この役は清原伽耶以外に考えられない」と思わせる説得力。
この先歳を取り、どんな役をこなしていくのか本当に楽しみで仕方ない。

ストーリーはとてもシンプル。
でも人物描写や時代背景もしっかり描かれているので世界に入り込みやすいし、映像が美しくて心に残る場面が多い。
また、囲碁の戦略が人柄や背景にリンクしている展開も上手いし、後半の決闘シーンが壮絶で手に汗握ったね。
クライマックスはどんな締め方をするのかドキドキだったけど、萬屋のシーンは痺れました。

これは見応えあるエンタメ大作ですよ。
時代劇の苦手な人に是非オススメしたい!
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