すでに持っているものを
求め続けるのが幸福
美食家のドダンと料理人のウージェニーは20年もの間タッグを組み、数々の料理で人々を魅了してきた。
しかしウージェニーが体調を崩した事がきっかけで2人に転機が訪れるといったお話。
トラン・アン・ユン監督らしい静かで美しく紡がれるストーリーに引き込まれましたね。
話の中心には必ず美味しそうな料理が鎮座しているんだけど、その料理への想いや人との関わり、考え方など人間ドラマがマッチしていて弱火でじっくり煮込まれたような深みがある。
あなたにとって私とは?
ストーリー同様、ドダンとウージェニーの人生も料理が中心になっている。
そんな彼らが後回しにしていた答えを迫られる中盤からの展開は息が詰まるような気分になったなぁ。
またこの作品の結末がフランス映画っぽくて複雑な感情を残してくれましたね。
こうなるだろうなを裏切るこの締め方は、前向きと捉えて良いのかそれとも…。
息のぴったりなドダンとウージェニー。
相手を試すような2人の会話はロマンティックでうっとりしちゃう。
そう感じるようになった俺って大人になったんだなぁと実感。
料理を見ている時のジュリエット・ビノシュの笑顔が美しすぎました。
あと料理を習いに来ていたポーリーヌ役の女の子良かったなぁ。
特に後半の静かな演技に目を奪われてしまいました。