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ヴァチカンのエクソシストのrage30のネタバレレビュー・内容・結末

ヴァチカンのエクソシスト(2023年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

実在のエクソシスト、ガブリエーレ・アモルトの活躍を描いた作品。

エクソシストを描いた作品という事で、どうしても本家(フリードキン版)『エクソシスト』と比較してしまうのですが、本作は良い意味で軽くなっている印象を受けました。
フリードキン版にある重々しさや厳格さはないものの、逆に本作にはユーモアやケレンがあって、カジュアルに見れる作品でしたね。

ラッセル・クロウ演じる主人公の冗談好きで陽気なキャラクターも良かったし、悪魔憑きのほとんどを精神疾患と言い切ってしまう、冒頭部分も入り易い。
肝心の悪魔との対決も、CGや特殊メイクを駆使してアップデートされたものになっていますし、幽霊屋敷モノの要素もあったりして、『死霊館』っぽさを感じたりもしました。

あとは、本家へのオマージュではないけれど、エクソシストらしい描写をきちんと抑えているのも好印象。
子供が汚い言葉を吐いたり、少女が奇妙な動きをしたり、神父達の内省的な描写や神父に悪魔が乗り移るラストなど、エクソシストを見ているな~という気持ちにさせられました。
これはもうパクり云々ではなく、エクソシストを描く上でのお約束といったところでしょう。

一方、不満点としては、やはり異端審問を悪魔のせいにするのは違和感を感じました。
こんな事を言い出したら、世の中の悪事を全て悪魔のせいに出来ちゃいますし、歴史修正主義的なのも気持ち悪い。
こんな事をやっても喜ぶのは一部のカトリックだけでしょうし、ちょっと余計な描写だった様に思います。

偉大なる本家『エクソシスト』がある以上、比較して非難する人もいるでしょうが、方向性が違うので両者を競わせるのは不毛な気がしてなりません。
シリアスなエクソシストが見たいなら本家、エンタメなエクソシストがみたいなら本作と、分けて見るのがベターなのではないでしょうか。
個人的には割り切って見る事で楽しめましたし、エクソシストをジャンル映画化したという意味では、シリーズ化も期待したいところ。
やりようによっては、それこそ『死霊館』の様な一大フランチャイズになれる可能性もあると思うので、まずは続編制作からお願いします。
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