くぅー

逃げきれた夢のくぅーのレビュー・感想・評価

逃げきれた夢(2023年製作の映画)
3.9
“生徒に嫌われる先生、主に三種類おって…好かれようとするヤツ、綺麗ごとしか言わんヤツ、最後がこれが一番嫌われるやんけど、授業がつまらんヤツ。俺その三つに当てはまとらんやった?”

»北九州で定時制高校の教頭として働く妻子のある男は、ある日、元教え子が働く定食屋での会計を忘れてしまうが、認知症の初期症状だと診断されていて、密かに家族や友人や教え子らを通して自分に向き合い始めたのだった。

はい、お気にのいぶし銀バイプレーヤーの光石研の久々の主演作、こちらでは公開がなくてやっとのことで自宅鑑賞し…これはなかなかの異色作かと。
 
そう、劇中音楽はなくメリハリもなく、淡々とぎこちないことをし出した日常を描くだけ…よって、見る人によっては全くつまらないとなるのも当然の展開で、見る側に解釈を委ねるタイプ。

うん、テキトーにって言葉が印象的な人生を送ってきたようで、妻子は居るが家庭の居場所はビミョーとなり、校長にはなれず教頭止まりで…まさかの宣告を受けて家族らにテキトーじゃないことをし出すも、当然にハマらない姿が滑稽で愛おしい。

そう、ある生徒に言われる “信じるけん、逃げんでね、先生。”…これがタイトルに繋がるんだろうけど、いろいろと考えると味わい深くなる妙。

にしても、終盤のあの元生徒とのやり取りは変な緊張感があったので、あの二人の過去に何があったかは知りたくなったけどw

そして、やはり光石研の独壇場に近くて、長回しをそつなくこなすあたりは流石で…大胆な初の親子共演にはニンマリ。

その他の俳優陣では、吉本実憂…久しぶりの代表作かと。
坂井真紀に工藤遥…いい味を出しまくりでした。
松重豊…息はピッタリでしたね。
さはには、杏花に岡本麗らが良きサポート。
くぅー

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