まさ

過去負う者のまさのレビュー・感想・評価

過去負う者(2023年製作の映画)
3.7
社会は誰のものなのだろうか。そんな言葉が頭をよぎる。罪を犯して刑務所で受刑し出所した人たちに就労先を紹介する情報誌を発行している活動を参考にして作られた本作。行き過ぎた自己責任を迫る社会への問題提起として描いたという。一度過ちを犯した人間を排除する社会。作品ではその点をかなりセンセーショナルに描いてはいたが、実際は声には出さないものの、そのように考えて、一線を引いている人は少なくないだろう。得体の知れない極悪人とラベリングされる彼らは、なんとか社会で生活しようともがいていた。罪に至る背景に様々な生きづらさもあったのだろう。どのような事情があるにせよ、罪を犯すことはいけないし、その責任は負わねばならない。しかし、彼らが社会でやり直すチャンスまで奪う筋合いはない。彼らも社会を構成する一員である。彼らを支えるまではいかなくとも、静かに見守る人が一人でも増える社会でありたい。
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