Kz氏

12日の殺人のKz氏のレビュー・感想・評価

12日の殺人(2022年製作の映画)
3.4
現在の横浜ベイシェラトンの場所にあった5館の映画館を、ナンパ橋こと南幸橋先のビルに納めたのが相鉄ムービル。横浜の高校演劇がお世話になった相鉄本多劇場もあった。
横浜の封切館として中心的存在であったけれど、シネコンの台頭やミニシアターの評価で桜木町関内に客足をとられ、東急傘下ムービルとなってからは、何だか廃れている。
大手配給にかからない作品まで上映してくれるのはありがたいが、大スクリーンで総座席数1,953席に、まばらな観客というのはとても寂しい。中学生時分から馴染んだ映画館なので、継続を祈る。

「落下の解剖学」の非ドラマ性に惹かれて、原作が未解決事件のノンフィクションという本作を。ともにフランス映画。
焼死体で発見された女子大学生の殺人事件が解決しない。男関係が派手だったけれど、容疑者を特定できない。捜査、事情聴取の繰り返しとともに捜査員たちの生活も描写される。全てが行き詰まって悶々とするばかり。
捜査班解散の3年後に判事の指示で再捜査班が組まれるけれど、結局、事件は闇へと飲み込まれていく。

世界は不条理で人生は無常だという、中世文学のような気持ちになる。
Kz氏

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