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12日の殺人のsonozyのレビュー・感想・評価

12日の殺人(2022年製作の映画)
5.0
2013年5月に実際にフランスで起きた事件(現在も未解決)を元にしたフィクション。
セザール賞6部門(作品/監督/助演男優/有望若手男優/脚色/音響)、リュミエール賞(作品/脚色)ほか受賞

2016年の10月12日の夜遅く、静かな山あいの町で、21歳の女性クララが、友人ナニーの家でのパーティの帰り道、突如何者かにガソリンをかけられ火を放たれた。そして、無残にも彼女は翌朝焼死体で発見される。
グルノーブル署の新任班長ヨアン(バスティアン・ブイヨン)率いる新たな捜査チームが捜査を進めるが・・・

次々と捜査線に上がる怪しい男たちと、明らかになっていくクララの私生活。
事件にのめり込むうちに、私生活や精神に影響を受けていく捜査員の男たち。
ララの友人ナニーから"ヤリマン"なんかじゃないと訴えられた時のヨアンの表情。
離婚問題も抱え、見えない犯人への憎悪を抑えきれなくなっていくヨアンの相棒マルソー(ブーリ・ランネール)の限界。

犯人を特定出来ない捜査員の苦悩と、観ている私も含めた"男性脳"の問題もあぶり出されていく凄い作品でした。

新たに加わる女性捜査員ナディアの存在意義。
ヨアンが乗る自転車のオーバルトラックの周回シーンも、常に冷静さを保とうと務めるヨアンらしい時間であり、解決の見えない捜査のメタファーのようにも見え効いてました。
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