マインド亀

ドミノのマインド亀のレビュー・感想・評価

ドミノ(2023年製作の映画)
3.5
ロバート・ロドリゲスが描く、現実感覚揺さぶる、愛嬌たっぷりのサイコ・スリラー!夜食にぴったり!

※BLACKHOLEにて、お便りが採用されました!
高橋ヨシキさんに、催眠・洗脳映画と、現実感覚を揺さぶる映画のいろいろを教えていただきました!
https://www.youtube.com/live/B0ngOnrCHdw?si=cJ63bNzaUxvrpHur

●『ドミノ』観てきました。初っ端から全く違う原題タイトルが表示され、「ああ、またこの何度もコスられ倒したダサいタイトルで邦題つけやがって…」などと思いましたが、内容的にはかねがね満足いたしました。

●予告から誰もが『インセプション』を連想すると思うのですが、こちらの作品は小難しいノーラン作品とは対象的に、ロドリゲスらしい愛嬌がワタシ的にはとても好印象で、94分という短い尺であることもあって、小腹が空いたときにちょうどよいボリュームの夜食的な作品でした。

●思えば、主人公がこういった「信頼できない語り手」であるサイコ・スリラー作品は、複雑な伏線を張り巡らせて、後から色々と考察させられる作品が多いのではないでしょうか。
しかし、この作品は構想期間20年とは思えないくらい隙だらけです。






ネタバレちょっとあり





話の構造も我々の想像できうる範囲で、後出しジャンケンの入れ子構造になっていて、結果的には「愛があるから大丈夫」という、どストレートな解決策を提示したり、また『マトリックス』ばりに自分のいる現実世界の本当の姿があらわになったと思えば、実は世界はラース・フォン・トリアーの『ドッグヴィル』のようなセットの世界で、真っ赤なジャケットを着た人々がシナリオをなぞっているだけの世界という、まるでジョーダン・ピールが描きそうなちょっと可笑しみのあるトリックを見せてくれたり、やっぱりロドリゲスは嫌いじゃないと思わせてくれる楽しさがありました。
最後にアイツはやっぱり生きていた!という展開も、いつからどうやって?が恐らく考えられてない強引さで、難しいことは考えない潔さがありました。

●『インセプション』や『マトリックス』、数々のヒッチコック作品が本作の引き合いに出されると思いますが、日本アニメでは『攻殻機動隊』『パプリカ』はもちろん、近年では、虐殺を誘発できる文法をもって世界各地で虐殺を引き起こす『虐殺器官』、自殺を誘発させられる声で国家転覆を引き起こす『バビロン』などにも似ている部分は非常に多く、20年の構想中に日本アニメの影響も受けているのでは、と思いました。こういった圧倒的な催眠能力で殺人を誘発するというプロットは、始祖となる元ネタでもあるのでしょうか?

●とにかく、この尺の短さは最近の映画の状況では珍しく、そしてそこそこ楽しめる映画だと思います。大作が目白押しの秋ですが、こういう作品こそ映画館で観てニコニコになってかえっていただけること間違いなしです。是非観てください!
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