黎音ーRain

窓ぎわのトットちゃんの黎音ーRainのネタバレレビュー・内容・結末

窓ぎわのトットちゃん(2023年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

原作小説は知らずに鑑賞
涙無しには見られなかった

トットちゃん含め、この学園に出逢えた方々は本当に良縁だったと思う
現代社会でさえ肉体的精神的どちらに問わず何かが違うだけで差別を受ける日本で、戦前の厳しい時代にこのような学園があったことに驚くとともにその教育方針が心底羨ましかった
小林先生は本当に素晴らしい教育者だと思う
それが戦争という形で奪われてしまったのが苦しくてたまらない

泰明ちゃんの死はあまりにも突然で当事者じゃない自分でも号泣だった
ご家族や友達、先生方はより苦しかっただろうと思うと同時に彼が亡くなったヒヨコに対して言っていたように、天国で自由に飛び回っていて欲しいと願った
彼の短い一生の中でこの学園生活はどれほどのものだっただろう、少しは幸せを感じて飛びたてたのだろうか

自分にとって戦前の日本の変動に巻き込まれていく様を子供たち視点でというのが見た事ない描かれ方で、より複雑な気持ちになった
今もどこかで何も知らない子供たちが大人の理不尽な喧嘩に巻き込まれているのかと現代でも消えていない戦争により胸が痛んだ

トットちゃんのように発達障害を持っている自分にとってこの作品の前半は幼少期の自分を見ているようで、この様な出逢いがあればより早く自身らしい生き方を見つける事が出来たのではないかと本当に羨ましかった
他人と違う事で叱られ、馴染めず、心が削られて結局精神科に通って薬でやりくりしている現在。より早く向き合い方を知っていればあの苦しい時間を過ごさずに済んだのでは無いかとネガティブに捉えてしまう部分もあった

しかし、だからこそ、現代の問題が多い教育現場が小林先生のような考え方の教育者やそれができる環境に変化し次世代で同じ苦しみを抱く子が減ることを願わずにはいられない
今の教育現場が大変なのは重々承知しているが、それを上手く国がサポートしてくれる未来が来るようにしっかり社会を見ていくべきだと思った

自身が教育現場に立つことは出来ないけれど、この学園の中のように差別や偏見に対してしっかり見つめ直そうと思う
黎音ーRain

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