このレビューはネタバレを含みます
原作未読で、劇場CMの内容であまり期待してなかったのですが、予想を遥かに上回る傑作でした。
まずアニメーションの背景、動きのきめ細かいこと。
想像力豊かな子供だけの世界はアニメーションでこそ描けるものですね。
日本のアニメーターの底力を見せて貰えた気がします。
また、校長先生の教育哲学、人物像にも深く惹かれました。
初めのシーンでも只者じゃないのが伝わりましたが、トットちゃんを子供ではなく1人の人間として見て、取り留めのない話を全て聞き入れた上で本音を聞き出す姿に感服しました。
中々出来ることじゃないですよね。
その他、トットちゃん泰明ちゃんの両親、トモエ学園の教員など、大人たちの葛藤もリアルに描かれており心にくるものがあります。
極めつけはやはり泰明ちゃんの葬式からトットちゃんが駆けるシーンですね。
大日本帝国の戦争賛美の影は作中でも徐々に顔を出していましたが、大切な友人の死というミクロな視点から、命が軽く扱われ死が量産される時代というマクロな視点に繋がるあのシーンは震えました。
戦時下の日本の歪みを、友人の死の解釈に苦しみながら駆けるトットちゃんの風景から映し出すのは、見ているこちらも胸が苦しくなる、極めて心にくるシーンでした。
黒柳徹子さんの自伝ということで、何故あれだけのカリスマ性を発揮出来るのか、一端が分かった気がします。
折り見て原作も読んでみようと思います。
あまり人気がないのは絵が可愛すぎるんでしょうか。
やはりジブリ、宮崎駿さんくらいの、可愛すぎず不細工すぎない絵柄が一番抵抗なく受け入れられるなと思ったところはあります。
