名波ジャパン10

窓ぎわのトットちゃんの名波ジャパン10のレビュー・感想・評価

窓ぎわのトットちゃん(2023年製作の映画)
4.2
幼少期の黒柳徹子、トットちゃんを通してトモエ学園の自由な教育と戦時下の異常な社会情勢を描いた作品。トットちゃんが身を寄せたトモエ学園は、当時普通の学校では居場所がなかった子供達を引取り、子供達に寄り添ってその自主性を重んじた教育を施していました。東京大空襲により消失し、廃校となってしまいましたが、現代でも参考とすべき教育理念を実践した学校でもありました。物理学者山内泰二はトモエ学園でのトットちゃんの同級生で映画の中でもトットちゃんの初恋の男の子として登場します。彼の登場場面は小児麻痺の男の子のトットちゃんに寄せる想いと交錯し、本作品のクライマックスのひとつとなっています。小学校一年生の女の子の眼に映る戦時下の状況は何のフィルターも通していないだけに人々の精神性の異常さが際立って伝わってきます。この風景はしっかりと語り継いでいかなければならないもの。劇場はほぼ高齢者で満席でしたが、若い世代にも是非観てもらいたい作品です。