予告編の段階で美術の安っぽさがえらいことになっていたが、本編はさらに衝撃の安さのつるべうちで、逆にすごいぜ……と息を呑みながら見た。今年でいうと『逃走中 THE MOVIE』かこれか、みたいな感じだ。しかし、その安さも途中から意外に慣れてしまった。いや、安くても、それはそれで誠実な姿勢を見られたので、許せるという気持ちになった、というか。
脚本の徳永友一は超やばいフィルモグラフィーの人だが、本作は細胞の擬人化というアイデアにより、難病モノと戦闘アクションを両立させるのが一種の発明だなと感心(原作通りなのかもしれないが)。細胞パートの主要キャラクター全員死亡という、よくよく考えたら凄まじいカタストロフ(放射線治療をオーロラのように描くのが面白い)も、なかなか思い切った描写だと思う。永野芽郁の最期が描かれないのはさすがに片手落ち。
役者は阿部サダヲと佐藤健が共に良かったが、永野芽郁や仲里依紗(全然気がつかなかった)が魅力的に撮られていないのは残念。松本若菜のほうがおいしい役になっている。あと、深田恭子が役柄とか関係なく、何かスリリングな存在感を醸し始めていて、見ていてドキドキというよりハラハラしてしまった。