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マディのおしごと 恋の手ほどき始めますのkissenger800のレビュー・感想・評価

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ジェニファー・ローレンスに甘いことでは定評ある俺ですが、彼女、ヤル気あるときとそうでないときの差が分かりやすく、アンサンブルのひとりでしかないけど十分な仕事をしている『ドント・ルック・アップ』(2021)、過小評価がすぎる『その道の向こうに』(2022)に続くこれは本気のときの彼女で-だからと言って成功するとは限らないのはツライところですが-コメディに振り切った作品なのは値打ちある。
というのも『世界にひとつのプレイブック』(2012)も『アメリカン・ハッスル』(2013)も「よく見ればコメディ」だったけど、これは全編気合い入ったバカ映画で(=バカ映画好き)。

ちょっと留意したいのは男女逆転させたら2023年現在、エンターテイメントたりえないプロット、そこに無自覚なまま制作されたわけでないところ。
主人公のバックグラウンドにジェントリフィケーション要素が加えられているのは、何か足さないと本線だけでは一品として成立しない、ぐらいの判断が為されている証拠なんだけど、とはいえ思ったほどスパークしないのは、まさに原題のいう「べ、べつに気にしてないし」水準の強がりが作中にあるからで、まあこの素材で出せる内容としてはこんなもんか。

ただ、これを見て男女が逆なら許されないのに女性ばっかり下駄はかされてよお。みたいなことを言う各位にこそ、その目つきで『レオン』(1994)を2023年の今、見直すように。と宿題を出したいとは思いました。

なお、物語舞台のモントークってだいたい『終わらない週末』(2023)の近所で、つまりあれもこれも広義ではニューヨーク映画ではあります。首都圏でいう下田、関西圏でいう白浜ね。
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