垂直落下式サミング

オーメン2/ダミアンの垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

オーメン2/ダミアン(1978年製作の映画)
4.2
オーメンの第二作目。ダミアンは前作の最後で父の弟の養子となり、13歳になった彼は従兄とともに幼年仕官学校に通っている。彼の秘密を知った人物が次々に死んでゆくパターンは前作同様で、敵役と世界観を踏襲した続編だ。
本作で面白いのは、悪魔を崇拝する勢力は、既に軍隊や大企業など、様々な組織に入り込んでいることを暗示させること。一作目ではベビーシッターというごく身近な職業に紛れてソーン家に接触したが、邪悪な協力者たちは、巨大な組織内部でそれなりの地位を得ていることが明かされていくのである。
問題は、今までダミアンは自身が悪魔の子だとは知らなかったということになっており、彼がどういう意識や作用で殺戮を行っていたのかが不透明になって、前作との矛盾が生じてきてしまうことだ。
だが、ここで真に恐怖すべき点は、悪魔にも人間と同じような成長があり感情があるのだということを描いていることだろう。
ダミアンが、自分の出自を知り愕然とする様子をみてからだと、一作目のキリンが逃げていく動物園の場面や、教会で父親に殺されそうになる場面が、いっそう切なさを増す。あのとき、ダミアンは普通の子供だったのである。一作目が終わった時点で彼はただ、なにも知らない不幸な孤児でしかなかったのだ。
それを踏まえると、彼自身が出自を受け入れ、兄弟のように育った従兄を殺さなければならなくなる場面が非常に感傷的である。