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SAND LANDの傘籤のレビュー・感想・評価

SAND LAND(2023年製作の映画)
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楽しかった〜。元の漫画は2000年にジャンプで連載されていた作品で、鳥山明が手がけていたこともあって人気があったのだけど、映画化が決まったときは「なんで今さら?」とは正直思ってました。でも観てみて納得。水不足問題や、戦争の責任について、差別や偏見への視点など、まさに今と感じる要素が多く見受けられ、ああ、こんなに豊かなテーマをはらんだ漫画だったのだなあとしみじみ。というか、そういう内包テーマ以上に単純に観ていて楽しい。まずキャラクターやメカデザインなど全体のビジュアルが非常に良く、20年以上経った今なおかっこいい。キャラの中ではラオが渋くて特に好きです。巨大モンスターとのカーチェイスや、ベルゼの肉弾戦も派手で見応えありますがなんといっても「戦車戦」こそがこの映画の醍醐味。原作漫画の整頓され見やすい構図・コマ割りを活かして、迫力と臨場感のあるアニメーションにしてくれてます。中盤にある砂漠の岩棚を使ったVSアレ将軍はかなりアがりました。
主要キャラの多くはおっさんばかり、戦車、モンスター、強くて心の優しい悪魔像。作者鳥山明のエッセンスを盛り盛り盛り込みつつ、無駄な要素がほとんどないので多くの人に薦めやすいポップさがあります。
ピッチ人からすればシバの罪が許されたわけではないのでもう少しなんらかのフォローは欲しかったところですが、そこを修復する可能性を感じるラストなのでまあ良しとしましょう。
『ラピュタ』や『未来少年コナン』のような王道感のある冒険物語なので、この夏の娯楽アニメとしては花丸をあげたくなる作品でした。
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