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デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 後章の傘籤のレビュー・感想・評価

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なにか破滅的な出来事が起こって世界がめちゃくちゃにならないかなーという気分を抱えながら僕たち私たちは「終わらない日常」を生きていて、でも実際に日常が一変するような出来事が起こったとしても、その変化でさえものすごいスピードで日々の生活の一部となり、相変わらず日常は続いていく。あらゆる事象は急速なスピードで見慣れた風景へ。私たちはもう終末に慣れ過ぎた。ここは終わらない日常なんかじゃない。世界はずっと前から終わっていて、いまこの時でさえもどこかの誰かにとって破滅的な出来事は起こっていて、それもまたあっという間に日常へと取り込まれてゆく。いま目の前にあるのは終わらない日常なんかじゃなくて終わらない終末だ。滅びることを許されない、絶えず滅び続けることが日常となった世界。そんな「それぞれの終末」をそれぞれが生きていて、そのことに退屈と安息を覚えている、そんな気分。そんな光景。

そのことをこの映画は受容する。何度もやり直すことで正しい選択をするわけではなく、現実的な感情論に振り回され、誤りながら、大きな損失を出しながら、その世界を受け入れる。僕たち私たちは常に終わりの中にいて、全員がハッピーになれるような結末も、世界が崩壊して終わることもない世界に生きている。それならば、この終わらない終末を生きていこう。すぐ隣にいるあなたと一緒ならそれでもいいやって気がするから。そういう気分。
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