前髪メガネ

SAND LANDの前髪メガネのレビュー・感想・評価

SAND LAND(2023年製作の映画)
4.2
まさかSAND LANDの映画が観られるだなんて思っていなかったわ。

魔物も人間も水不足に苦しんでいる砂漠の世界・サンドランド。悪魔の王サタンの息子で「極悪の悪魔」を自称しているが少年のように純粋な心を持つ王子ベルゼブブは、盗みが得意で物知りなお目付け役の魔物シーフや正義感の強い人間の保安官ラオとともに、広い砂漠のどこかにあるという「幻の泉」を探す旅に出る。

2000年にジャンプで短期連載されていた漫画が20年以上の時を超えて映画化。
連載当時も鳥山明らしさと自由さに夢中で読んでいたあの頃。コミックスも買って読んでいたけど、この映画はあの世界観と鳥山明の絵をアニメーション映画として見事に創り上げていたと思う。
上映始まってから気がついたらけど、東映アニメーション制作じゃないんだ!サンライズ、神風動画、ANIMAが制作。配給も東映ではなく東宝。
予告編でドラゴンボール超スパヒロや1stスラダンとかのようなアニメーション画だったから勘違いしてた。東映じゃない鳥山明、なんか新鮮。

14話のマンガを106分の映画にしてるから何か足したり尺稼ぎしてそうと思っていたけど無駄なく作られていてなんならあっという間の106分でした。
何よりキャラクターの違和感がゼロで思い描いていた通りだったことはホント感動的でした。
ドラゴンボールや超もそうだけどどこか映画上でのキャラデザやらキャラクター像に違和感を感じる事は多少はあるけど本作はそれが無くて子供みたいに夢中になりました。

物語は知っていたけど、水源の独占と独裁的な設定は現代風刺のようで23年前の情勢なんて覚えてないから連載時の狙いは分からないけど、今回このタイミングでの映画化ってのはメッセージ性があるように思えた。
それと「偏見は正しい判断を狂わせる」のセリフ。
大なり小なり偏見というのは知識を身につけた生き物として人間誰しも持つものだと思っているのですが、まさに思い込みや願望で人を傷つけたりが多い今の世の中。相手を知ろうという気持ちと物事や言葉を噛み砕くことは大切ですね。
魔物だから危険、国王だから正しい、悪だと言われているから悪に違いない。

ドラゴンボールは広い世代に今でも愛されている作品だから、本作も是非大人の方にも見て欲しい。
前髪メガネ

前髪メガネ