マインド亀

SAND LANDのマインド亀のレビュー・感想・評価

SAND LAND(2023年製作の映画)
4.0
究極のハイブリッド表現!アニメーション新次元到来!

●IMAXがオススメというんで、わざわざIMAXで観てきたんですが、両端切れてる上映やないかーい!

ということで観てきました、鳥山明の『SANDLAND』!確か原作は1話と、飛び飛びで週刊連載をちょっと。そんな感じでしか読んでなかったと思います…

●昨年の『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』はモーションキャプチャーした3DCGアニメーションを鳥山明絵に再現し、『THE FIRST SLAM DUNK』に並んでアニメーションの新次元と言える作品でした。アプローチ方法は違えど、モーションキャプチャした3DCGを、どれだけ原作絵に近づけるか、というような形で、どちらも原作から飛び出たような究極のアニメーションだと思いました。
『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』はとても素晴らしいかったのですが、映像の手触りのいかにもなCGっぽさはまだ残っていて、例えばこれがそのままプレステのゲームだと言われていても違和感はないようなルックかなぁと思っておりました。
しかしながら本作『SANDLAND』は、セルルックアニメーションという、3DのCGアニメを2Dの平面アニメ調に落とし込む手法で、さらに3Dと2Dが極めて自然にハイブリッドされておりました。『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』では、3DCGで生成される美しい表面のシャドウがかかっており、それはそれでフレッシュで良かったのですが、本作の陰影は、鳥山明の描くそれそのものなんですよね!さらにびっくりしたのが、キャラクターの輪郭線!輪郭線が手描きっぽく、線の入り、抜きが表現されていて、均一じゃなかったんです!それこそ鳥山明の手書きの線そのままでございました。この映像表現は、最新なのにアナログ感がある、まさに新次元!
究極体に完成したと言っても良いかもしれません!それだけでも観る価値あり!是非観てください!

●鳥山明の短編、長編って、だいたいは主人公がその世界で圧倒的な力の持ち主で、だいたい話の解決にはアラレちゃんばりの強さを発揮する、ある意味王道のパターンがほとんどなんです。なのでとてもワンパターンになりがちで、初期の『◯作劇場』なんかはほとんどが主人公TUEeee!パターンなんですよね。なのでこの『SANDLAND』もだいたいそんな話だと思ってたのですが、なんと中盤の戦闘が戦車アクションだったのにはびっくりしました!そしてめちゃくちゃ面白い!『T-34 レジェンド・オブ・ウォー』とか『フューリー』とかの面白さに匹敵しており、私は未見なんですが、同じアニメーションの『ガールズアンドパンツァー』ファンには観るべき作品だそうで、とにかくこの戦車バトルを延々と続けてほしいなあと思いました。もう、鳥山明はこの路線でどんどんメカを出したアニメを作って欲しいなと。スーパーパワーの格闘は、もうドラゴンボールでお腹いっぱいですしね。

●ストーリーは極めてシンプル。鳥山明版『マッド・マックス』といっていいほど。『怒りのデスロード』は本作のパクリ?とか思えるくらいです。本当の悪人というのは数えるくらいの数人で、子供が安心して観られるよう、全員が良い人ばかりです。もう少し無慈悲な魔物と魔王をたくさん出したダークファンタジー感を出してほしいなあ、という気がしないでもないですが、それをしちゃうと鳥山明作品じゃなくなっちゃいますしね。
各チームが、不足した情報で戦略を練って動き出すところは、ドラゴンボールのナメック星編を思い出しました。あの一連の、裏のかきあいは一番面白いところだったと思いましたが、本作でもそういった部分がよく出てました!

●ところで『マッド・マックス』や本作を観てて思うことなんですが、水源がたった一つでそれをせき止められるだけでこれだけ砂漠が広がるってどうなんでしょうか。さすがに私利私欲で水を停めるのはヒドいとしても、ダムを爆破して垂れ流しするのは非常に危険な気がします。雨そのものが降らなさそうですしね。『怒りのデスロード』でも、最後に水を垂れ流してましたけど、めちゃくちゃ心配してしまいました。ダムをぶっ壊したら調整ができなくなるやん!などと要らぬ心配なんでしょうか。

●という話は置いといて、とにかく鳥山明のアニメーションとしてここまで原画のクオリティをキープ出来るとなると、ドラゴンボール以外の作品をどんどん作って欲しいと思うのも当然。映画オリジナル作品も作って欲しいと思いました。本作も世界で上映されていくでしょうし、いやあ、鳥山明の銀行口座にはどのくらいの桁のお金が入ってるんでしょうかね…というようなゲスい話は置いといて、キャラクターがイキイキ動いていて、そしてその真っ直ぐさに心打たれる作品でした!是非見てください!
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