竜平

SAND LANDの竜平のレビュー・感想・評価

SAND LAND(2023年製作の映画)
4.1
砂漠化し深刻な水不足に悩まされているという世界を舞台に、ひょんなことから人間の老保安官と「魔物」が手を組み「幻の泉」を探す冒険へと繰り出す、という話。鳥山明による漫画原作のアクションアドベンチャー。

週間少年ジャンプで連載してた当時はたしか小学6年生くらい、でコミックもバッチリそのまま持ってるほど大好きな作品のまさかのアニメ及び映画化ということで、そりゃ見に行くよねってゆー。もう言ってしまうけど、原作好きも納得の非常に良き出来になってたんじゃないかなと。「これぞ」と言える鳥山明のキャラデザインに、どこか可愛らしい世界観に、コメディのテンポ感まで、まぁ個人的な思い出補正は恐らくあれど終始ワクワクな内容。例えばキャラクター、それぞれの細かいエピソードやら場面やらも変に省略されることなくちゃんと盛り込まれていて、てかそもそも漫画の方は十数話完結(コミック1巻分)の短期読み切り系であるが故にボリューム的にも映画化しやすかったんじゃないかな、なんて。なんなら原作にない展開、補完してくれるような描写やセリフも増えてたりして、しかもそこも蛇足だったり寄り道だったりの感じがなくて、原作好きには本当に嬉しい仕上がり。終盤の原作にないバトルと展開も胸熱だったなと。また声優陣がめちゃくちゃキャラにハマってる印象で、漫画からそのまま飛び出してきたような、なんか本当、異論なしって感じ。

今作は悪魔の王子「ベルゼブブ」が主人公のように見えるけども、じつはワケあり保安官「ラオ」が主人公と言っていいんじゃないかな。原作コミックでも鳥山明がコメントしてたようにそもそも今作のコンセプトが「じいさんと戦車の話」で、そんなじいさんキャラのラオ(本名はこれじゃないんだけどまぁ伏せとくね)に原作以上に焦点が当てられているのが良き。また「魔物」や「悪魔」などファンタジー混じりの世界観の中で、それらが活躍するようなぶっ飛び系のバトルがじつはメインでないのも今作のおもしろいところ。目玉となる戦車バトル、これがシブいのなんの。そんで国王軍やら小悪党やら、ちょい入り乱れつつの群像劇も非常に楽しい。キャラの能力というか特徴というか、それぞれ長けてるところがあって、ふと出てくる「お前凄いんかい」みたいな展開は個人的に大好物だったりして。

何か深いものがあるとかでなく、とにかく見て楽しむエンターテイメント。てかここにきてのシブじいさん活躍アニメ、斬新なんじゃないかなどうかな。あと個人的に思うこととして、同じく鳥山明の1巻完結の作品群『カジカ』や『COWA!』なども今作のような感じで映画化してくれたら万々歳。ただこの『SAND LAND』が一番エンタメ寄りな作品であるが故に、まぁ、さすがに今更きびしいか。
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