竜平

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム エクステンデッド・エディションの竜平のネタバレレビュー・内容・結末

4.9

このレビューはネタバレを含みます

トム・ホランドらによるちょっとしたイントロ映像と、更に未公開シーンがいくつか追加された特別バージョン。

『ノー・ウェイ・ホーム』自体の感想はすでに書いたからこっちのレビューはネタバレ全開で。もう初っ端のテンポ感から最高だし、そこからのワクワク感、サプライズ的なキャラたちの配置と怒涛でエモーショナルな展開、やっぱり素晴らしいよねーなんて。序盤も序盤のデアデビルこと「マット・マードック」のまさかまさかの登場に始まり、MCUからの「ドクター・ストレンジ」、まぁ今回は彼が完全にやらかしちゃってるわけだけども、これはもはや笑いどころ。そんでアルフレッド・モリーナ扮するドクター・オクトパスこと「オクタビアス」、ウィレム・デフォー扮するグリーン・ゴブリンこと「ノーマン・オズボーン」、ジェイミー・フォックス扮するエレクトロこと「マックス」と旧キャラが旧キャストのまま続々登場する、その瞬間の高揚感よ。ほぼCGだけどリザードこと「コナーズ」とサンドマンこと「フリント・マルコ」も、ってかこれもCGだけかと思いきや演じるリス・エヴァンスとトーマス・ヘイデン・チャーチの姿が最終的にちゃんと出てくるからねー。それぞれ設定やら性格やらしっかり昔のままで、同じシーン内で交わった時のおもしろさ、世界線が一緒ですでに知り合いのパターンもあったり、会話の内容が本当に細かい。ウィレム・デフォーによる“ゴブリン高笑い”、これもめちゃ懐かしい気持ちになる。

で、なんと言っても、“アメイジング”・スパイダーマンのアンドリュー・ガーフィールド、初代スパイダーマンのトビー・マグワイア。今でこそもう完全にネタバレされてるし、出てくるもんだと思って見れるだろうけども、公開初日には「もし出てきたらすごいけど、まーーー出ないだろうね無理だろうね」と思ってたし、劇場で見た時の、この登場の瞬間の興奮というのは今でも思い出せたりして。マジで奇跡としか言いようがない。この二人も性格やらエピソードやらやっぱりそのままで、三人のピーターのやり取りなんかはずっと見ていたいくらい、とか思うのは俺だけじゃないはず。でトム・ホランド扮する現ピーターが直面する悲しみや怒りに関して、二人の年上ピーターもかつて同じような経験をしていて、同じような状態に陥ったこともあったりして、だからこそ伝えることができる言葉、動かすことができる心ってのがあるんだよなと。過去のいろんなシーンがフラッシュバックしてきてその都度泣けるし、二つの旧スパイダーマンシリーズがこんな形で再び描かれて、更に着地してくれたことにも感動。そんで、これももう言えちゃうけど、別宇宙からただ来て酒飲んで帰っていっただけの「エディ・ブロック」と「ヴェノム」よ。『レット・ゼア・ビー・カーネイジ』のミッドクレジットシーンでまさかの示唆があったことなんて、今作の怒涛の展開の中ですっかり忘れてたよねーなんて。「ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース(SSU)」との合流はひとまずお預けってゆー、意表をつかれたなーやられたなーなんて。で帰り際にMCUの世界にちゃっかり「シンビオート」置いていってるってゆーね。

今回のバージョンでは当然のことながらシーンの追加によってストーリーの流れ、人物たちの思考や感情の変化などがより伝わってくる感じになっていて、高校での他生徒や教師との他愛のないやり取り、前述の旧ヴィランたちとのシュールな会話、あとマリサ・トメイ扮するメイおばさんとピーターのあれこれなどが追加されてたり。まぁその未公開シーンに関しては、なんやかんやカットされただけあってぶっちゃけあってもなくても大丈夫な感じで、もうちょいサクッと見たかったら通常版で事足りるんじゃないかな。いやしかし素晴らしきエンターテイメント作品だなと改めて実感。こんな“奇跡”のお祭り映画は後にも先にもないんじゃないか。で、MCUとしては今作と次の『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』あたりで一回ピークを迎えてしまった印象も、悲しいかな、ある。現在進行形の通称「マルチバース・サーガ」はもう今作にあるようなファンサービスと、シリーズとがっつり関連付けていく方向性に振り切ったほうがいいんじゃないか、とさえ思う。あと個人的にはもうトビー・マグワイアもアンドリュー・ガーフィールドもこれ以上は再登場させてほしくないなというところ、今作の感動と奇跡が薄れちゃう気がするし。

最後に、こっから繋がるかもしれないSSUはもっと頑張ってくれよってマジで思う。今年公開予定の『マダム・ウェブ』と『クレイヴン・ザ・ハンター』と『ヴェノム3(仮題)』、楽しみにしてますよっと。
竜平

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