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ミッシングのiccoのレビュー・感想・評価

ミッシング(2024年製作の映画)
4.2
どの言葉も正しく心に響き、一瞬足りとも油断できず、絶え間なくペンチでつねって捻るような痛みが続く。
痛みがわかるってどのくらいわかってますか、は恐ろしいほど真実。
物事を想像で語ってはならない理由がわかった気がする。

彼女が藁をも縋る気持ちで集めてる情報。誰かのいたずらな好奇心で出されるちょっかいにどこまでも引きずられて、更に自分を消耗して行く様はとてもとても心が痛かった。

報道する側も自分の仕事とのジレンマに苦しんでいる辛さが伝わる。
助けて欲しい人と助けたい人も、欲しい結果は同じなのに、それまでの道にどれほど自分も他人も傷付かねばならんのか。

楽しい思い出のかけらが突然ナイフになってザクザク降りかかってくる。
「あんなに怒らなきゃよかった。」は私も子育てをした中でほんとに後悔している事の一つ。
よくあんな可愛い生き物に感情的に怒ってたな自分、と過去の出来事を振り返るたびに反省するけど、一緒にいる今でさえそうなら、今姿が目の前にいない子に対してならどれほど辛く思い出すだろうと思う。

その場所から逃げようにも、いつ子どもが戻ってくるかもしれない希望で逃げられない、もうどうにも行き場がない生き地獄に観ている方も胸が締め付けられる。

この状況で、このどうしようもない気持ちとどう折り合いをつけろというのか。

石原さとみちゃんの熱演が凄かった。
あの慟哭は演技というより役の憑依!
自分より大事なものが消えてしまったら、自分を保てなくなって当たり前だよな。
しかし素晴らしかった。
可愛いだけじゃないのね!!

あと音が必要最低限なのもよかったな。
その分すごく音に敏感になれた。
そしてフライヤーにうっすら写ってたプリズム光が、とても印象的だった。
映画観たらわかるやつ。
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