散歩

ミッシングの散歩のレビュー・感想・評価

ミッシング(2024年製作の映画)
3.7
そのロールを完璧に果たせていない(ように見える)母親をほぼ機械的に叩くネットの声や分かりやすく視聴率を稼げる分かりやすいニュースを(結局は)求めるテレビ局、そしてその場の怒りをとりあえず発散する背景に映る人々の単純さと、何もかもが定まらない状況に突き落とされどこに感情を発すればいいのかすら分からなくなっている上に、単純な世の中の声に振り回され、時には利用され、どんどん深みに落とされていく母親の対比が残酷で面白かったです。今作を通して見える社会は無関心というより答えありきで考えない方が楽な社会と言った方がいいのかなって感じたりもして。それを、石原さとみさんを主演に据えて安易に答えを提示しない作品として作っている今作の姿勢はとても好感が持てます。

でも、良い作品だと思うけど今作のドラマが好きかと言われたら「う~ん…」って感じで、全体的に吉田監督の過去作ほどの露悪的な描かれ方はしていませんでしたが、1つ1つのシーンがちょっと狙いすぎているというか、「そこ気になるんだ」的な事は分かるんですが「そういう拾い方しなくてもいいんじゃないの?」って感じる事がちょっと多くて、観ている間は「今作自体が社会やシチュエーションを茶化してるんじゃないの?」って作り方に対してイラッとする時間が個人的にちょっと多かったです。
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