アムステルダムズ

ミッシングのアムステルダムズのレビュー・感想・評価

ミッシング(2024年製作の映画)
4.8
この映画に物語はない。
とある女子児童が失踪し、情報を求めて必死に駆け回る夫婦とその周りの人々、そしてそれを報道するマスコミの経緯を淡々と描かれる。
有力な目撃者が見つかるとか、アリバイを崩した先に衝撃の真実が、といったありきたりなストーリーはなにもない。自分の過去の行動を責めひたすら憔悴し続ける母と、冷静に振る舞いながらも心労を隠せない父、心から協力してあげたいと思いながらも上司や局の意向に逆らえない報道番組ディレクター、そして女児と最後に一緒にいた伯父。様々な視点から事件の推移が描かれるが、やはりドラマが発生することはなく、無情にも時間だけが過ぎていく。

母役の石原さとみの演技が凄まじい。心配するあまり頭がおかしくなったヤンママを体当たりで演じている。シン・ゴジラでカヨコの演技に賛否両論あったのも記憶に新しいが(自分は肯定派)これはその頃から段違いにレベルアップしている脅威の名演技だ。

観た結果とても落ち込んでしまう映画だが、最後に母が見せた表情に、一抹の救いが感じられる。