当事者と報道。
幼い娘が失踪した家族と報道の在り方、そして近年の問題でもあるSNSでの誹謗中傷を描く。
吉田恵輔監督とタッグを組む石原さとみ。挑戦的で難しい役柄を演じる彼女の体当たりな演技が見ものか。
失踪した娘のために何にでも縋りたくなる気持ち。報道も最初は大々的になされるが日が経つに連れて風化していき新たな事件を報じて人々からも忘れられていく。やがて当事者自身も何処かで無駄なんじゃないかという諦めのようなものが浮かび、活動資金も尽きていき、どうしても探し出したい気持ちとのジレンマに苛まれる。さらに家族にも疑いの目が及び関係も悪化する。よくあるであろう報道とは。被害者であるにも拘らずSNSで有る事無い事を書き込まれてそれを見ることによってより苦しむ。
嫌な世の中になったものだと思わせられる作品。人間の嫌な面が垣間見える一方で一方向にそちら側だけにフォーカスして映していないところはまだ救いがあるように思えた。
重い内容だったが考えさせられもした。
