ホラーの鬼

ミッシングのホラーの鬼のレビュー・感想・評価

ミッシング(2024年製作の映画)
4.4
2024年 34作目(劇場15作目)

𠮷田恵輔監督の最新作と聞いて、期待度上げて鑑賞。本当にしんどくて、辛い物語だったが、その中に射す一筋の光も同時に描いていた。人間の一面だけでなく、多面的に描く𠮷田監督の視点や脚本が非常に際立った傑作だった。娘の失踪をきっかけに崩れていく家族、それを報道するメディア、分かりやすい構造ではあるが、そこに人間味が混ざることで生々しい物語になるのが𠮷田監督の作品であると思った。

SNSの描き方はステレオタイプのようにも感じたが、見たくないのに見ちゃうという構造は新しく感じた。失踪事件というものを扱うなかで、脚本としての緩急が嫌らしいくらい見事だった。そんな物語の中にもクスッと笑わせるような所や終わりの見えない現実にも生きていかなければならないというところも良かった。

主演の石原さとみさんの演技というのか、憑依というのか感情のコントロールが出来ないところが凄まじかった。それに作用されるかのように出演者全員のリアルな人間味が出ていて、今年の邦画を代表するような傑作。
ホラーの鬼

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