Soichiro

ミッシングのSoichiroのネタバレレビュー・内容・結末

ミッシング(2024年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

吉田監督作品はヒメアノールと空白を視聴済み。
最初の印象としては、宣伝から受ける印象と本編での石原さとみが演じる主人公の印象がかなり違った。
なんとなく、事件の被害者家族と言われると、かわいそうな人格者と言うイメージを持ってしまう。
でも、この映画では、初手からめっちゃ石原さとみが怖い。
自身に密着してくれているテレビ番組のネット上の感想で、少しでも誹謗中傷するようなものがあるとめちゃくちゃ切れる。舐められたらカチコンでやろうみたいなヤンキー精神を感じるような主人公。

主人公がずっとピリピリしていて、周りに当たり散らしてるのを見て終始かなりストレスフル。
娘が失踪して半年のインタビューの際に「娘が見つかった」と言う電話で急いで警察に行くも、それが虚偽の情報だと知って、石原さとみの張り詰めていた精神が切れるような演技は見ていて、すごい怖かった。もうほぼ呪怨。
主人公に無理矢理インタビューに出される。弟も表情がかなり怪しくて見ていて怖くなった。
この弟は学生時代にいじめられていて、街中で突然叫び出したり奇行が多かったと言うのが早い段階で開かされる。
しかも娘と最後に一緒にいたのが、この弟だと言うことで、犯人ではないかと疑われる。
ただ多分この弟に関しては犯人なのではないかというミスリード以上に、人間が壊れたときにどういうことをしてしまうのかと言うわかりやすい尺度として置かれたのではないかなと思った。
例えば、中村倫也に中村無理矢理インタビューをされそうになるシーンで、車の中から中村倫也を見ながらぶつぶつ何かを言っているシーンがあったが、後に中村倫也が追い詰められた際全く同じことをしていた。
石原さとみが追い詰められた時も商店街で急に奇声を発するシーンがあり、これも弟が過去にあったことがある紀行として、あらかじめ語られていた。
弟がいることで、他のキャラクターがどのタイミングで壊れてしまったのかわかりやすく表現されていたのだと思う。

ラストに向かうに連れて、これもう娘見つからないなというのがなんとなくわかってくるんだけど、やっぱりその通りで後半少しダレてしまった感じがある。
なんどかこれラストカットでしょうみたいなシーンがあったけどその後も、割とぐずぐず続いたのが、ちょっと面倒だった。
ラストカットっぽい幻想的なシーンから映像の写し方が変わって、主人公とその旦那が立ち直り始めているっていうのは十分にわかったから、その後は少し冗長かなと思った。
結果的に、事件は何も解決しないので、さっぱり終わらせたいみたいな人には向かない映画だと思う。
個人的にもカタルシスを感じられないので、あまり面白いとは思わなかった。

あとちょくちょく笑わせに来てるのかなって言うようなシーンがあって、それいるかなっていうのは結構感じた。実際に隣の席のお客さんがそういうシーンでいちいち鼻で笑っているのがすごい気に触った。
あぁ言った視聴者の完成を試すような笑のシーンがあると必ず俺分かってますよ。アピールする視聴者が出てくる。
後に監督のインタビューを見たら、何個か笑えるけど、笑ったら人間性を疑われるようなシーンを入れたと語っていて、そういうめんどくさい事はしなくてもいいのかなぁと思った。
個人的には、ヒメアノールと空白がバイオレンスかシリアスに振り切っていたので、そっちの路線の方が楽しめた。
Soichiro

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