のだめ

ミッシングののだめのレビュー・感想・評価

ミッシング(2024年製作の映画)
5.0
沙織里の娘・美羽が突然いなくなった。懸命な捜索も虚しく3カ月が過ぎ、沙織里は世間の関心が薄れていくことに焦りを感じていた。夫の豊とは事件に対する温度差からケンカが絶えず、唯一取材を続けてくれる地元テレビ局の記者・砂田を頼る日々。そんな中、沙織里が娘の失踪時にアイドルのライブに行っていたことが知られ、ネット上で育児放棄だと誹謗中傷の標的になってしまう。世間の好奇の目にさらされ続けたことで沙織里の言動は次第に過剰になり、いつしかメディアが求める“悲劇の母”を演じるように。一方、砂田は視聴率獲得を狙う局上層部の意向により、沙織里や彼女の弟・圭吾に対する世間の関心を煽るような取材を命じられてしまう。

愛する娘の失踪により徐々に心を失くしていく沙織里を石原が体当たりで熱演し、記者・砂田を中村倫也、沙織里の夫・豊を青木崇高、沙織里の弟・圭吾を森優作が演じる。

映画.COMより

この映画は、石原さとみさんが「自分の事を変えてくれる人だ」と吉田恵輔監督の作品に惚れ込んで直談判し、7年間の想いが詰まった作品。
まさに石原さとみさんの演技で見たことない石原さとみさんの姿が観れる作品だと思います。


↓ここからネタバレ

こんなに映画終わっても、なんとも言えない気持ちになり辛い…苦しい…でもどこか綺麗。そんな感情になった映画は初めてです。ここに感想を書きながらも涙が溢れてきますし、手も震えます。
心に残るシーンが沢山あるのですが、思い出す度に胸が苦しくなります。
印象に残ってるのは、娘が見つかったと電話があり、警察署に駆け込むがイタズラだと分かった時、パニック発作を起こす石原さとみさんの演技ですね…。あれは怖かったし観てるこっちも震えが止まらない瞬間でした。夫役の青木崇高さんもずっと冷静さを保って人前では泣くことなく妻を見守っている中、タバコを吸いながら通りすがりの家族の子供を見てる時に、「ライターを貸してください」と声をかけてきた男性の前で、泣いてるのを悟られないように泣くシーン。ここも印象的です。

記者役の中村倫也さんは本当に美羽ちゃんを見つけたいという奥さんに寄り添う中で、上司の視聴率を狙うやり方に納得がいかず壊れていくシーンもあるので、こちらの気持ちも感じながら、さらに弟の森優作さんの姉に対しての態度や2年後に会った時の表情、そして姉への謝罪全てにおいて、こちらの感情も伝わるので本当に一人一人役者さんの感情、心情が伝わるのが凄すぎて…観てるこっちも心がついてくのが精一杯で本当にしんどかった。
ニュースで流れる度に誹謗中傷をウケる中、掲示板を見るなと夫に言われるが「分かってるけど見ちゃうんだよ!」と怒鳴るシーンも分かるし、本当こんなに観てる時、観終わった後に残るずっと壊れそうな気持ちが続く映画って「子宮に沈める」以来でして、もうそれを超えてきた映画になりました。
最後の子供が作った作品に虹色に光る描写がとても美しく、今でも余韻が残ってます。

母親でなくても、一人一人の感情や心情が伝わる映画なので、それぞれの気持ちに入ったり出たりする映画だなと思います。
でも、美しさも残る映画なので是非とも観て頂きたい映画ですし、好きな作品の一つになること間違いないと思います。
石原さとみさんがかけた想い、ぜひ受け取って見て欲しいです。

最後まで読んで頂きありがとうございます。
のだめ

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