May

ミッシングのMayのネタバレレビュー・内容・結末

ミッシング(2024年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

何度もスクリーンから目を背けたくなるほどに強烈なシーンが連続する。でも、目は離せなかった。しかもとてつもない集中力を維持し続けて、観終わった時には走りきったような感覚すらある。
これはこれまでの吉田作品にもあるドキュメンタリー性によるものも大きいが、作中でも言われていた、この作品が扱っている題材をどこかおもしろいと思っている自分がいるからだろう。そんな自問自答を繰り返しながら鑑賞せざるを得ない作品だった。
そして、主演の石原さとみの凄まじさ。もう芝居という範疇を超えてしまっているように感じた。特に娘が保護されたというのがイタズラ電話だった際のシーンは息を飲んだ。

この映画を見ている時にでもたぶん何か悲惨なことは起こっている。それは知る由もないし、知ったとて自分はなにもできないんじゃないかと反芻した。このとち狂った世界での心のあり方を実感させられた。

『空白』で古田新太演じる父親が娘の好きだった絵を始める、といった絶望の中に立たされた人間が光を掴んでいくことを、今作もちゃんと描いていてよかった。
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