20240520#91
今年度暫定ベスト1。
ネタバレ改行
どこにでもある平凡な家庭。
何も悪いことをしていないのに、何の罰なのか、ある日突然地獄に突き落とされる。
しかもこの地獄には出口が無い。自ら頑張って何かしたとして抜け出せるものでもない。
という話。
これまで接してきた幾多の映画・ドラマ・小説であれば、ハッピーエンドかその逆か、結末をつけて終わるもの。
それは、そのコンテンツを消費する我々(カスタマー)の満足度向上のためのお約束。
さっさと片づけて次のコンテンツを消費しなければ(させなければ)いけないから。みんな忙しいのだ。
しかしこの映画はそういった安易な結末や説明を選択しない。
現実に起こった不幸な事件に対しても、我々は理由や結末(バカ親が悪い、容疑者がやっぱり身内、など)を求め、報道に先駆けて憶測や決めつけでその「コンテンツ」に「。」を付けて納得しすぐに忘れてしまう。
一瞬でも立ち止まって、決めつけと勝手な納得をやめ、当事者の切実な状況をちょっとは想像してみろ、そうすれば世の中になんとなくはびこる悪意へのささやかな抵抗にはせめてなるのではないだろうか。