ゾンビ将軍

ボブ・マーリー:ONE LOVEのゾンビ将軍のレビュー・感想・評価

ボブ・マーリー:ONE LOVE(2024年製作の映画)
2.8
20240518#88
作品内マリファナ消化本数世界一かも、というぐらい吸ってないシーンの方が少ないですな。

88年だったか、サンスプラッシュを聴きにジャマイカに行きました。
フェス自体はモンティゴベイだったのですが、オプショナルツアーでキングストンのボブ・マーリーミュージアムに。
その場所は、元彼の自宅兼スタジオということで、本作冒頭の銃撃があったところ。屋内はどうだったかあまり覚えてませんが、建物の形や前庭の広さはああ一緒だ、と感心しました。実際に現場で撮ったのかセットなのかはわかりませんが、プロデューサーが実の息子なので、そこはこだわったのかも。

この映画にボヘミアン・ラプソディほどのカタルシスはないです。
政敵同士を和解させたというシーンのバックにOneLoveが流れたら(実際の記録フィルムではなく演出入りで)、いかにもおさまりのいい感動的なラストになるかもしれませんが、自分は逆にしらけていたでしょうね。

音楽にメッセージを込めるということ、賛否あると思いますが、自分はあまり好ましく思いません。
彼が広く評価され知名度が他のレゲエアーチストに比べ圧倒的に高いのはそのわかりやすい(平和、愛など)メッセージ性によるところが大きいでしょう。
ジャズやブルース、そしてレゲエにラップ。ブラックミュージックを楽しむ際に必ず黒人奴隷の歴史やアフリカへの回帰を理解しておかなければいけない、という教科書的聴き方。そこに音楽そのものの楽しさへの言及ははありません。
この映画に対し、彼の「ご託宣」を拝聴し偉人物語に感動するというアプローチは失敗するでしょう。少なくとも我々一般日本人においては。

大スクリーン、大音響であのゆったりとしたリズムのうねりに身をゆだねる、それでいいんです。エクソダスのスタジオセッション、だんだんと楽器が重なっていきグルーヴが生まれていくゾクゾク感、こここそがこの映画の楽しむべきところ。
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