けぬご

ミッシングのけぬごのレビュー・感想・評価

ミッシング(2024年製作の映画)
4.5
今年邦画で一二を争う。
すげえ感情も思考もぐっちゃぐちゃになる作品。

『空白』でもメディアによって面白おかしく編集されるみたいな描写あったけど、今作はそれをよりメディア内側から描いた作品でした。
何かショッキングな出来事の後の人間の追い込まれた心理描写本当に生々しくて的を当てて胸が苦しくなる。


人の不幸をダシにして飲みの場の話にしたり、視聴率を取るために伝え方を変えてみたり、インタビューの当事者の発言に「表現変えましょうか」って言ってみたり。ビジネスである以上仕方のないことだと思いつつ、違和感というより残念な気分にさせられた。いろんな人の不幸に触れすぎてしまうからこそ、仕事と割り切って人の気持ちに鈍感にならないとやっていけないんだろうな。
だからメインで出てくる記者はそれに葛藤して1人だけ孤独感というか、自分の理想とのギャップに苦しんでたんだと思う。

と、情報の改変について触れた一方で、
作中での、真実が一番面白いんだ(面白おかしいだ)という発言のように、真実を加工せずに垂れ流すことが果たして本当にいいことなのか、考えさせられた。真実が当事者を傷つけることもあるし、かと言ってその人の主観によりすぎても他の人を傷つける結果になったり真実からかけ離れたフィクションになる。真実をそのまま流すのが報道としてあるべき姿であると信じ込んでた自分の固定概念に新たな視点が加わった気分。


石原さとみの演技も凄くて、本当に同情というか引き込まれた。インタビュー中電話かかってきた時は鳥肌立った。もうこれ以上は石原さとみが壊れてしまう!!!やめて!!!と何度心で叫んだからわかりません。


監督インタビューメモ
人は本当は想像力がないのかも。
助けなくていいから邪魔しない世の中を。
けぬご

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