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ミッシングのTinscowのレビュー・感想・評価

ミッシング(2024年製作の映画)
3.8
人間の嫌な部分を観客に突き付けてくるで定評のある吉田監督の新作ということで、今年一楽しみな邦画。
この作品も期待通り、目を背けたくなる人間のいや〜な部分をこれでもかと見せてくる吉田節は健在(笑)

報道の在り方、SNSの誹謗中傷など、過去の吉田作品でも何度も扱われてきたテーマで、前半からしばらくは、藁にも縋る夫婦の前に一筋の希望が見えては人間の悪意にかき消され、鳴き叫び狂う石原さとみを見るのがつらかった。

でもこの映画には確かに救いはあった。
なんとなく着地点を予想したら、ほぼそうなった。描きたかったものに気づいたせいか。
タイプ的には「空白」に近い重さが充満してるけど、あちらと同様ちゃんと救いはあった。

タイトルのMissingは、幼女失踪事件のミッシングと、コピーの「わたしたちは心をなくしてしまったのか?」のダブルミーニング。
たぶん「わたしたち」は登場人物全員。
そんな役者陣皆素晴らしい演技だったけど、やはり石原さとみはすごい。憑依型の女優さんになったのかな?

最近TVで、とあるYouTuber夫婦が、不幸の投稿は再生数が多いが、幸せな投稿は不幸の100分の一くらいとか。結局人間が興味あるのはそういうことなんだなー、と、この映画見ながらそれを思い出してしまった。
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