さちえ

ミッシングのさちえのレビュー・感想・評価

ミッシング(2024年製作の映画)
4.1
「空白」や「神は見返りを求める」の吉田恵輔監督、脚本の最新作!
この監督の作品ということで劇場公開前からずっと観たかったので、配信をずっと待っていました
まさかこんなに早く配信されるとは思わず、ネトフリで見つけてビックリ😳💦
明日はかなり重要な仕事があるのに再生ボタンを押すのをとめられませんでした…

やはり、見終わった後もだいぶ引き摺るレベルの重たい映画です
人間の醜い部分というのもちょっと違うのですが…何と表現するべきか、吉田恵輔監督は人間の直視するのが辛い部分を抉り出して描写するのが非常に上手い監督さんで、本作でもその力量が遺憾無く発揮されています
ただ、本作は今までと比較すると人の優しい部分も多めに描写されていたので覚悟していたよりは清々しい余韻も残りました🌸
吉田監督の作品はどんどんよくなっている気がするのでこれからも楽しみです✨

子供が今どこでどうなっているのかわからない、そんな状態になったらどれだけ不安か、どれだけ悪い想像をしてしまうか
それがたまたま年に一度程度の息抜きで自分が家にいない時に起きたことで、そしてそれでバッシングまで受けたら…
自分も娘が産まれてからほとんど職場と家の往復ばかりで、主人公と似たような環境だったので感情移入して物凄い泣きました
同じ状況になったら自分もこのくらい頭おかしくなるし何も手につかないと思います
でも、主人公だけでなくて主人公の弟や、主人公夫婦を撮り続ける記者、ちょっとした端役の人にまで感情移入しながら観ることができました
これは、登場人物1人1人のキャラクターの作り込みがとても深くリアリティがあるからだと感じます

俳優陣の演技もとても素晴らしかったです
今までどの役柄でもちょっと気取った雰囲気が残っていた石原さとみが、ボサボサのプリン頭でなりふり構わず弟をどついたり引きずり出したりするシーンはあまりに迫力があって衝撃的
子供が行方不明となって憔悴しきった悲惨な母親役を彼女が表現できるのか心配でしたが全くの杞憂でした
彼女にとって新しい分野を開拓したんじゃないかなと思います

真実を伝えたいと言った直後に、夫婦をバッシングから守るために偏った編集をしたいと、矛盾をはらんだ中村倫也の演じた記者も何とも人間臭くてよかったです
どんどんおかしくなってく妻を支える青木崇高演じる旦那さんは冷静かつ妻への思いやりに溢れたすごくデキた人でとても救われました

とても良作なので、観てて辛い気持ちにもなる映画ですがたくさんの人に観てもらいたい
そして、本作で初めて吉田監督作品に触れて、良作だと思った方には是非監督の過去作品も観てもらいたいです✨
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