Kana

ミッシングのKanaのレビュー・感想・評価

ミッシング(2024年製作の映画)
3.0
自分の命よりも大切なものを奪われて、心が抉られてしまう話。
石原さとみ、最初はただのヒステリックな母親だなという印象だったけど、どんどん気が狂っていく様子が…悲しいくらいにすごかった。
人間の輪郭が崩れていくようだった。

人って、毎日起きて、学校や会社に行って、三食食べて、夜は家に帰って眠って…
当たり前のように思うけど、ものすごく複雑な社会性や律法に縛られて生きていて、それをコントロールしているのは全て理性なんだということを、改めて感じた。
他の哺乳類より大きな脳みそを持って生まれて、いろんなことを考えてしまうから、夢やら希望やら家族やら友達やら怒りやら憎しみやら依存やら…何かに縋らないと生きていけないのかもしれない。

石原さとみ達の生活を見ると、そんなにお金のある家庭じゃないことがわかる。
彼女の狂い方や家族関係にも、少し教養のなさが感じられる。
それと地域性、都会ではないし、ど田舎でもない温度感が、報道業界の描き方も含めて、絶妙に表現されてたと思う。
そうやって俯瞰的に冷静に見れたのは、サブスクで見てたからで、映画館で見なくて良かったなと思ってしまった、のめり込むと辛過ぎるから。
それでも人生は続く…というメッセージだとは思うのだけど、この話の本当の主人公は中村倫也なんじゃないかと思えた。
中村倫也目線の、不条理な世の中を冷静に描いたお話なのかなと。
それが正しいとは思わないけど、結局人間の世界はいまお金で回っているのは事実なので、仕方のないことだとは思うけど…
当事者になったらどう思うのかはわからない。。。
Kana

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