ねむろう

わたしたちの国立西洋美術館~奇跡のコレクションの舞台裏~のねむろうのネタバレレビュー・内容・結末

2.9

このレビューはネタバレを含みます

2023新作_216


日本西洋美術の殿堂
その裏側


【簡単なあらすじ】
1959年にフランス政府から日本へ寄贈返還された「松方コレクション」を基礎に、彫刻、版画、素描など約6000点の作品を所蔵する国立西洋美術館。20年10月、ル・コルビュジエが構想した創建時の姿に近づける整備のため休館となった同館の内部にカメラが入り、1年半の長期間にわたる取材を敢行。モネの「睡蓮」やロダンの「考える人」といった数々の所蔵品を紹介するほか、「美」を守り伝えることに尽力する美術館スタッフの多岐にわたる活動を記録。館長やキュレーター、美術関係者へのインタビューからは、日本の文化行政が抱える難問や美術館が抱える危機的状況があぶり出される。



【ここがいいね!】
2020年の10月から2022年の6月までに行われた、国立西洋美術館の改装工事を追いかけ、そしてその裏で行われていること、日本・世界における国立西洋美術館の立ち位置、美術館が抱える問題に光を当てる作品でした。
美術館をテーマにする映画はいくつか見てきましたが、それとはまた違って、所蔵されている作品の歴史を紹介するというより、美術館の裏側でどのようなことが行われているのかということを記録した作品になっていました。
ルックとしては、「プロフェッショナル仕事の流儀」や「プロジェクトX」のような趣に近いものでした。



【ここがう~ん……(私の勉強不足)】
この映画を見る前に『ファッション・リマジン』(2023)という映画を観ましたが、説明の際にちょっとしたデータが差し込まれていたりしました。本作品も、そのあたりがもうちょっとあると、国立西洋美術館は日本の美術館としてはどうなのか、世界の中ではどうなのか、というところが一目で見やすいのかなと思います。
また、本作はナレーションがなく、映画の中でインタビューした人によって情報を提示していくしかなく、「わかりやすさ」の面でもう少し工夫をしてほしかったように思います。



【ざっくり感想】
美術とは何か、美術館とは何かというところをもう一度見直させてくれる作品だったかなと思います。
美術館を支える人々がどのような動きをしているのかというところを見るだけでも非常に勉強になりました。
また、個人的には「美術輸送」とていうものはすごい気を使うものなのだなと思いましたし、国立西洋美術館の一部建て替えに関わった建設業の人もすごい気を使ったのだろうなと感じる作品でした。
ねむろう

ねむろう