ユート

ネクスト・ゴール・ウィンズのユートのレビュー・感想・評価

3.7
タイカ・ワイティティの作品は初鑑賞。愛しのマイケル・ファスベンダーが主演ということで楽しみにしていた一作。

シリアスな役柄が多いファスベンダーさんがコメディ映画で観れるなんて!それだけでアガる案件で評価はややマシマシに。劇場でも笑い声が上がっており、とても良い雰囲気だった。

本作は史上最弱のサッカーチームをマイケル・ファスベンダー扮するトーマス・ロンゲンが再建する物語。しかも、ほぼ実話である。

サクセスストーリーの側面が強いが、同時に1人の男の成長物語でもある。

サモアの文化や考え方は、トーマスだけではなく現代を生きる私たちにも救いになると思った。

私たちもトーマスと同じように勝利≒成功を追い求めるが、果たしてそれは幸せに繋がっているのか?今の私は幸せか?今自分がやっていることは本当に意味があるのか?もっと大切にするべきことがあるんじゃないか?とハッとさせられる。サモアの価値観に触れ、トーマスは新しい一歩を歩き始める。

競争社会の中で窮屈な思いをしている現代人にとって、サモアという場所は安息の地になるかもしれない。

また、“ファファフィネ”というコンセプトがあることに驚愕。最近になってダイバーシティとかインクルージョンという考え方が広く知られてきたのに、サモアでは古くからある考え方のようで、とても感心した。こういう意味でも、現代人にとって光になりうる要素。

このようにサモアを含むポリネシア文化に興味をもつきっかけになる点もこの映画の良いところ。

ただ、途中やや中だるみを感じたことは否めない。また、チームメイトの中で主要となるキャラがほぼジャイヤのみだったため、「みんなで頑張ったね!」というカタルシスは少なく感じた。4週間の出来事なので致し方ない部分もあるが‥。

とはいえ、難しいことは考えずにシンプルに楽しめる作品。上映時間が100分程度とサクッと観れる点もポイント高い。サッカーに疎い方でも問題なく理解できるので、ぜひ多くの方に観ていただきたい。
ユート

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