kaorui

ネクスト・ゴール・ウィンズのkaoruiのレビュー・感想・評価

2.5
がんばれ!ベアーズのような作品かと思ったら、ふらっとやってきた白人がダメチームを勝利に導く作品には意地でもしないぞ、という覚悟がピンと貫いていて驚いた。
なんとか爪痕を残したいファスベンダーに感情移入する前半はチームの脳天気さが妙に腹立たしいのだが、最終盤に向け価値観がひっくり返っていく。生きることを楽しむメンタリティは悠久のころから寄せては返す波のリズムのようで、島の黎明と共に在った第三の性をもつ選手を介して気付かされるところが実に奥深い。
一人サモアの山を登り切り息を切らせ寄せる波を見下ろすファスベンダーに泣けた。
娘の残した留守電の伝言の内容と相まって、作品のテーマが胸に迫る良いシーンだ。

ストイックに道を極め足跡を残すことが人生なのだと概ね考えている僕なのだけど、案外道草をし楽しむ中にこそ真実があるのかもしれない。

スポーツ映画でありながら練習や試合のシーンは稚拙なものがあり、ワンアイデアでなんとかする感が残念ではあるけれど、今作の見どころはそこではないので、まぁそんな感じで。
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