カナオ

ネクスト・ゴール・ウィンズのカナオのネタバレレビュー・内容・結末

3.0

このレビューはネタバレを含みます

タイカ・ワイティティの撮ったマイケル・ファスベンダーなんて絶対観たい!!!!を抱えて行ったら、ワイティティ神父に優しく諭された。
人生のいろんなものを削ぎ落として、心血を注いで磨き上げられた唯一無二の素晴らしいものが、世の中にはたくさんある。輝いて見えるし憧れるけど、それを求めた結果「幸せ」になれるかどうかはまた別じゃない?そのへん大丈夫そう?…的な。

タビタ会長や島の人たちみんな、「1ゴール」には見返してやりたいという気持ち以上に、成し遂げてみんなで喜びを分かち合いたい、って気持ちが強かったように感じた。トーマスに「勝てない」と言われて、「なら負けましょう。ひとりではなく、チームで」と返したタビタ会長の言葉で、そう思った。
何かを成し遂げるにはひとりで努力を重ねる時間も必要だけど、それに傾倒しすぎて孤立してしまったら?見事に成し遂げられたとして、それを誰とも分かち合わずに一人で噛み締めるのは果たして幸せか?喜びも、悲しみや悔しささえ、分かち合える仲間がいたら、一人で味わうのとはまた違ったものになるんじゃないか?

本当に命をかけて打ち込んでいるような人からは、甘い考えだと言われるかもしれない。だから「勝ち」を逃すんだと言われるかも。打ち込む対象は人によって違うし、重みもまた個人個人で違うから一概には言えない。でも「2ゴール」の瞬間の彼らはこの上なく幸せそうで、すごく羨ましかった!




作品外のマイナス面なので余計な話だけど…この映画の予告映像で、ワイティティは色んな賞レースで負けた!負けた!って畳み掛ける煽り文が使われてて、ちょっと…感じ悪…と思った。たしかに受賞は逃したけど、それって「負け」か?とか、選ぶ側に問題ある例の賞もあるからな?とか。まぁ映画のストーリー的に、「負け」をキーワードにしたコピー作りたくなる気持ちもわかる…けど個人的にはイヤだったな…もっとポジティブな売り方していい映画じゃん〜!

あと近くの席で鑑賞してた大分ご高齢の男性、ジャイヤと第三の性のことを全く理解出来ないんだな…という笑い方をしてて、なんかなぁ…歪んだ価値観に囲まれて育った世代だから気の毒だけど、ジャイヤが真剣に悩んで涙まで流しているところで笑ってたのはさすがにビビった。煽りとかじゃなくて、どうして可笑しいと感じたんですか?って真剣に質問してみたい。
カナオ

カナオ