Clary

ナショナル・シアター・ライブ「ベスト・オブ・エネミーズ」のClaryのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

予備知識なかったんだけど、めちゃめちゃ面白かった!

演劇だからこそできる表現に感嘆し、
この題材で盛り上がれる国の土俵が羨ましくも感じる。
(日本はこの土俵にすら上がれない文化を個人的には感じてしまう。)

主舞台は二人の討論場面だけど、
時代背景、二人の個人的背景などをうまく差し込みながら、
緩急がテンポ良く、そしてスピードを持ちながら話が進んでいく。

テレビとして「画がいい」展開、
討論として相手に「勝つ」ために繰り広げられる駆け引き。
それは先鋭化していき、相手への罵倒へと繋がっていく。

民主主義として、主張そのものが押し殺されないことは求められるべきだが、
多くの賛同を得るために、純粋な討論に終わらない、終えることができない、
人間の性質というものを感じてしまうし、
それは過去のものと位置付けられないことにも思いを巡らせてしまった。
むしろ、テレビが人々の共有の場としての機能を持てておらず、
個々、それぞれが思う「世界」を創り出しやすい現在は、
より複雑化しているのかもしれない。

地味であること、派手であること、
それが即座にいい世界には繋がらないことを頭に入れておかないと危うさを感じるこの頃。
Clary

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