ご機嫌な黄色

ジャンポール・ゴルチエのファッション狂騒劇のご機嫌な黄色のレビュー・感想・評価

4.0
奇しくも熊week3本目ラスト
何が熊かって?ゴルチエさんは幼少期にお気に入りの熊のぬいぐるみ‘ナナ’に似合う素敵な衣装をお絵かきしたり工作したりしていたんですって
時にはお化粧もしてあげて💄
そこが彼の原点なのですね🧸
コレクションにテディベアシリーズもありますし、シュタイフがボーダーを着せたことも
ショーでは‘熊系男性👨‍❤‍👨’がベアに扮するダンスも象徴的

そんなゴルチエさんの生立ちからデザイナーとしての半生を、彼自身の監督と衣装で描いたランウェイ・ミュージカル『ファッション・フリーク・ショー』(日本公演もありましたがスケジュール合わせられず観れなかった😭)
そのメイキングに迫ったドキュメンタリーです

とにかく彼の太陽のようなエネルギーに圧倒されました
ボスは陽気で優しく心配りも細やかで、チームは顔色を伺うのではなく、巨大なプラスのエネルギーに感化され巻き込まれ上昇していく
その中心で誰よりも大きく口を開けて笑うゴルチエさん
怒涛アッパー系ドキュメンタリーは『ホドロフスキーのDUNE』も効きますが、こちらは成功しましたので得られるカタルシスの種類が少し違う感じ
ジャンポールそのものの物語ですし🧸

ファッションも舞台も、恋も、美への探究心によるもの
「違うことは美しい」
「美は至る所にある」
イメージとパッションを具現化するチームの技能やフィジカルにも圧倒されます

愛されたかった、その手段が絵だった彼には、
それこそ太陽のような力で周囲を焦がして自己を守らなければならない時もあったかもしれませんが、
ロマンティックでアバンギャルドな作品からは背景を気にし過ぎること無く、ただ大きな愛と驚きを受け取ればいいのだと思いました
彼自身の慰めや歓びもそこにあるのだとも

トレンドではなく一貫して多様性をクリエイトしてきた稀有なデザイナー
今やっと彼に追いついた、美しい‘フリーク’しかいない世界
このショーは多様性がトレンドになってしまった現代には劇薬かもしれない

舞台メイキングとしては苦労や衝突もは大きくはフォーカスされていませんが(創意工夫はふんだんに見せてくれる)、ゴルチエさん自身のエネルギーと、その舞台のファンタスティックな煌きを届けるには、今作においてはピリピリ感は不要で正解だったと思います
パワフルな撮影アッパーな編集、リアルなエモーションを届けてくれたヤン・レノレ監督は素晴らしい仕事です

本番観れてない身としては、もう少しそこもサービスして欲しかったなー😅とだけ
ご機嫌な黄色

ご機嫌な黄色