ご機嫌な黄色

Ryuichi Sakamoto | Opusのご機嫌な黄色のレビュー・感想・評価

Ryuichi Sakamoto | Opus(2023年製作の映画)
5.0
今となってはその姿はお能(であって能ではない)や説話の翁を思わせた
神と仏と人との間には翁が居る
直面の翁に触れられたシテのピアノが静寂に舞う
ピアノを前にした翁はその存在をこの世ならざるものへと高める
此の世と彼の世
翁帰りの後に在るピアノはどちらにも無い

直面には喜哀楽が溢れていて、
未だ「もう一回」なんて、
愛しみを感じるタッチなんて、
嬉しそうな表情なんて、
血肉の温もりそのもの、
なのに、モノクロームの存在には到底手が届きそうにありません
居合せているのに次元が違う

月光のようなスタンドライト
清々しい朝の陽の包容のような明かりに伸びる影
またいつしか月夜となって、銀髪が輝く
撮影も美しい

贅沢しました😊
シアタスのグランシアターは重厚感あるアプローチから非日常へ誘われ、脚を伸ばせるレザーリクライニングの僅か8シート
Dolby Atmos
ビールやワインも選べるドリンク(レイトなのでデカフェ珈琲チョイス☕)におつまみ🥜🍫かゴディバアイス🍨も傅いてサーブしてくれる
……4000円

そんなで、
スクリーンは大きくないぶん体感的には始り他その姿は実物大で、スタジオそのものの臨場感
微動だに出来ない緊張感と極上の寛ぎが併せ持つのも、お能っぽい
出入り不要の神事のような

息づかいが伝わる
ペダルも、衣摺れも、楽譜を捲るのも、
静寂に揺れている
この静寂を聴きに、ハイスペな劇場案件ですね

実は熱心なファンでもなく、聴き込んでもきませんでした💦
タイトルすら字幕されないので、知らない曲にイメージを持たず音と表情そのものを受け取れたのは良かったと思います
鑑賞予定になかったのですが、
無性にピアノを聴きたくなって当日なのに‘私の席’が空いていたので即抑え、
予定の用事は日中マキにマキました💦御縁

素晴らしかったです
極上の映画体験の一つとなりました
またいい環境で観たいです

これからも月がいくら朔望しても
魂は永遠

追記、帰路に空を見やると満月でした
不思議な力で今作に引き合わされたようです
ご機嫌な黄色

ご機嫌な黄色