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STILL:マイケル・J・フォックス ストーリーのロアーのレビュー・感想・評価

4.7
推しとまでは言えないかも知れないけど、出演作を追うくらいには大好きなマイケル・J・フォックス。その半生にもすごく興味があって、配信を楽しみにしていたドキュメンタリーです。

タイトルの「STILL」は"静止"の意とのこと。
幼い頃から活発で、俳優として爆発的な人気を博してスター街道を走り続けていたマイケル。そんなマイケルは20代でパーキンソン病を発症し、"静止"することができなくなってしまった。

ドラマ「スピン・シティ」も大好きで観ていたので、ちょうどその撮影中にパーキンソン病であることを告白したマイケルのことは当時、ニュースか何かで知って困惑したのを覚えています。ドラマの中では普通に見えたのに、病気ってどういうこと?って。でも実は、告知するずっとずっと前から病気を隠してカメラの前に立っていたなんて・・・

パーキンソン病について恥ずかしながら詳しく知らなかったので、実際のリハビリの様子を見て僅かながらに病気について知れたのも良かったです。
なんていうか、一般人の私でもこういう姿ってあまり人に見せたくないと感じるんだけど、ありのままの姿を飾らずに見せているマイケルの自然体な強さに心を打たれました。

スターになって傲慢になっていたこと、病気を否定したくて逃げたこと、忙しさに任せて父親の仕事を果たせていなかったこと、、、人間なら誰しも間違いを犯してしまうことはあるけど、それを認めてあけすけに話すことって案外難しいと思う。

信頼関係があってのことなんだろうと思いますが、マイケルに対する監督の質問や言葉も結構シビアに聞こえるところがあって、思わずこっちがドキッとしてしまうくらいだったんですが、マイケルはそれに対してユーモアたっぷりの返事を返していて、常に人を楽しませたいと考えている生粋のエンターテイナーとしての姿にも強さを感じました。

街中で転んでしまったマイケルに対して、心配して手を貸しながら「会えて光栄だわ」とだけ言って去って行く女性。そんな彼女にユーモアたっぷりの粋なセリフで返すマイケル。そのシーンの全てに何故か泣けた・・・

内容もさる事ながら、編集・演出・構成の妙もすごい作品でした。
マイケルのこれまでの出演作から映像を切りとったモンタージュと、マイケル役(背中からのショットのみ)を立てて新しく撮影した映像、そして現在のマイケルの日常とインタビューからなるドキュメンタリーなんだけど、切り貼りの筈のモンタージュがドキュメンタリーの内容にぴったりハマっていて、まるで最初からこの作品のために撮ったシーンかのように感じてしまうくらいでした。

それと、奥様との馴れ初めが映画かドラマか少女漫画の世界みたいでキュンとしちゃいました。誰にも否定されることのなかったマイケルに、初めて「嫌なやつ」と言い放った奥様に瞬時に恋に落ちたって・・・いけすかないクラス1の人気者と真面目な優等生の恋みたいなのってリアルにあるんだね〜キュンとするわ〜❤︎
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