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STILL:マイケル・J・フォックス ストーリーのhasisiのレビュー・感想・評価

4.0
俳優、マイケル・J・フォックスの波乱万丈の人生の振り返り。
映画とテレビのシットコムの二足のわらじで活躍した有名人の栄光と挫折。
そして、難病との戦いに突入してからの表舞台の裏側に迫る。

監督は、デイヴィス・グッゲンハイム。
2023年にApple TV +で公開されたドキュメンタリー映画です。

【感想】🕖️🚗
グッゲンハイム監督は、1963年生まれ。ミズーリ州出身の男性。
代表作は、地球温暖化について語るアル・ゴアのスライド講演を扱った『不都合な真実』

本作では、変に気を使わない本音の問いかけが印象的で、マイケルも楽しそうに答えている。

🏃🏼‍♂️〈序盤〉📺🛋️
[パーキンソン病]🧠
進行性の神経変性疾患。
手の震えや、歩行の困難などの運動障害。
薬で症状を一時的に抑えることはできるが、治す方法がないので難病に分類されている。

29才で小指が揺れはじめ、30才で診断。
病気の大変さと裏腹に、マイケルはカメラの前でプロに徹している。
へこたれず、明るいキャラを演じているので、見ていて暗い気持にはならなかった。

[マイケル・J・フォックス]👦🏼🦺
1961年生まれ。カナダ出身の男性。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の主役として有名。
(以後、略してBTTFと表記)
1985年のSF映画で、その年の最高収益を記録している。
ビデオ、テレビでも人気を博し、3部作に成長した。

小柄で童顔が特徴。
163㎝で、少年のような美貌。
PART3の頃だったのだろうか、高校生役で30才は当時も話題だったが、とくにそれ以上考えたこともなかった。

🍕俳優人生の振り返り。
マイケルの幼少期から、子役時代が知れる。
浮き沈みが激しくて波乱万丈。

浮かれて華やかな時代と、いまと変わらない建物でタイムスリップしたかのよう。
当時の映像と、再現映像の組み合わせ。
マイケルは売れっ子だったので映像が大量に残っている。
クオリティの高さもあって、見ていると当時か再現なのか分からなくなる。

🏃🏼‍♂️〈中盤〉🖼️👩🏼‍🎨
時代もあって内容が過激。今だとありえない労働環境で、当時散々聞かされたスターたちの逸話が思い出される。
(ん? 高額のギャラが出ていただけ今よりまし、なのか……)
ドキュメンタリーの撮影中に起きるハプニングも強烈で、時が止まる。

☕BTTFの裏側。
スターの華やかな人生の裏側が知れる。
芸能で活躍している人たちは、今もそんなに変わらないのでは?
暮らす場所が高層階になって、通販で届くものが豪華になって。
それでも、24時間はみな平等に過ぎてゆく。忙しくて目まぐるしい分、辛くなるだけのような気がする。

誰もがスターに憧れていた時代が遠い昔に思える。
そうは言っても、いまの時代でも俳優として頑張っている人たちのおかげで映画が楽しめているわけで。
一般との間に解離が生じて、
価値観に共感できないのは仕方ないだろう。

👨‍👩‍👧‍👦家族。
急に変態の話になって親近感が沸くw
コイバナになると時代も肩書も消失して、1個の人間になるから面白い。
マイケルが絞り出す言葉も、長年連れ添った奥さんへの感謝の気持ちがこめられて、ずっしりくる。
体力に任せて夢中で走る人の幸せ。
浮かれた80年代を見せられてげっそりしていたが、マイケルの家族を見るだけでも価値があった。

🏃🏼‍♂️〈終盤〉🛏️👨🏼‍🦽
🦴発病後。
80年代を駆け抜けた人らしく映画の主人公のような生き方。
役を演じている時間が長いほど、自分が何ものか分からなくなる、のような話をしていたけど、俳優という職業にかなり浸食されているように見えた。
(インタビュー映像も、カメラがついてくる日常でも、きっと演技をしているのだろう)

失語症で引退したブルース・ウィリスに通じるものがある。
病気の公表前に調子を崩した人を叩く側には回りたくない。
とは言え、上手くいかずにイライラして周りに当り散らす人を受け入れられるほど、
寛容にもなれない。

🏖️苦行と幸福。
最初からあった違和感の原因。真相の一部が語られる。
色々思うところはあるけれど、全部ひっくるめて尊敬しかない。
マイケルとその家族に幸せを分けてもらった。

【映画を振り返って】🏛️⚡
「This is heavy.」
売れっ子俳優の壮絶人生を振り返る再現映画。
誰かを演じる人間が忙しくなることの恐ろしさが伝わってくる。
これからは、日本のテレビドラマも違って見えそうで怖い。

見事に80年代を再現していますが、
テンションの上がり下がりが激しくて、熱に犯されているかのよう。
当時の華やかで馬鹿騒ぎしていた側面にクローズアップしているので、前半は正直疲れました。
(夢中で生きていたからなぁ)

現在でも活躍するマイケルの俳優仲間もみんな若くて、
記憶の彼方に消えていたいくつかの場面が懐かしかった。

後半も、現在のマイケルの生活での苦労が語られるので辛い。
演者としての体の張り方が常軌を逸している。
90分映画ですが、ずっしり重いです。

🕰️マイケルは心が強い。
全身の痛みに耐えているはずなのに、まったく表情に出さない。
わたしだったら辛くて、とてもあんな風に明るく振る舞えない。
頑張って、何度でも立ち上がる姿に圧倒されます。
(真似する必要はないですけどね)
BTTFに夢中になった人であれば見て損はない、心打たれる映画でした。
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