Kaz66

私がやりましたのKaz66のレビュー・感想・評価

私がやりました(2023年製作の映画)
4.2
なにコレ、ちょっと面白すぎるんですけど!
「8人の女たち」のフランソワ・オゾン監督が贈る、1930年代(第二次大戦前)のパリを舞台にしたサスペンス・コメディ。
こんな映画を撮る監督ってきっと“巨匠のおじいちゃん”?って思ってたら、僕より若かった。(笑)
フランス古典映画ってみんなこんな感じなのかしら?(僕は古典映画は全く観ていません…)
1935年のパリを現代に甦らせた(もちろんカラーです…)、美術・セットは完璧。衣装も監督と組むのは20作目という気心知れたデザイナーが、現在の俳優の体形や顔色/メイク後の表情に合わせて当時のデザインを落とし込む徹底ぶり。
劇中にも当時の映画や演劇が引用され、音楽も当時の雰囲気のある素晴らしいものでした。
なにより作風も戦前っぽいのに、『売れない新人女優が有名プロデューサーにパワハラを迫られる』という“#metoo”っぽい「(それまで当然のように虐げられてた)女性の自立」をテーマに忍ばせ、同時に『嘘に嘘を重ね、真実を見えなくする』のような「現代への揶揄」を二重構造で織り込みながらも、全体としては軽快でウィットに富んだ106分の弛みないものに仕上げるという……“総合芸術”としてのクオリティの高さに恐れ入りました。
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