ちーくん

首のちーくんのレビュー・感想・評価

(2023年製作の映画)
3.9
北野武監督作品。まず初めに、自分としては情報が公開されてから死ぬ程楽しみにしていた北野作品を初めての映画館で味わえるということだけでもう感無量といったところですね。内容としては、人間の汚さ、欲望、血生臭さを北野武らしくリアルに追求しながらも、所々ビートたけしらしいブラックジョークやコントのような描写を交えた、芸術的側面とエンタメ的側面の半々のような作品だと自分は思いました。感想としては北野監督のことだからもっと重い感じになるのかなと思いきや、割とそんなこともなく純粋に楽しめる作りになっていたと思います。あと北野作品は内容も去ることながら役者も素晴らしい一面を揃えるのでいいですね。ざっと感想を言うと、まず織田信長を演じる加瀬亮は本当にただただ頑張ったなと思いました。勝手に労いたい気持ちでいっぱいです笑。方言もうちょっと抑えてもよかったかなとは思いました。明智光秀を演じる西島さんは特に言うこともないですね(もちろん良い意味で)。勝村さんや遠憲さんは勝手に昔からの常連かと思ってたらどちらも本作で2作目なんですね。どちらもその一作目が自分の大好きな「その男、凶暴につき」と「ソナチネ」だから何回も観ていて自然といっぱい出ているような気でいました。どちらも卒なくこなしていたと思います。そして、武の秀吉、大森南朋の秀長、浅野忠信の官兵衛ですよね。この三人はもはやセットといった感じで三人が作り出す空気感がずっと面白くて笑っちゃいましたね。この三人衆結構好きでした。そして本当に上手かったと思うのは岸辺一徳さんの千利休と小林薫さんの家康ですね。暴れまくる信長と秀吉率いる少しおちょける三人衆の中で本当に安定感のある演技をしていました。この二人がしっかりとした円熟味のある重厚な演技をしていくれたからこそ、ある程度地盤が固まって良い塩梅になっていたんだと思います。自分の中の本作の役者MVPは少し地味な役柄ながらもいい味を出していた岸辺一徳さんと小林薫さんの二人です。その他の人もまぁまぁでした。終わり方については人によって色々と思うことがありそうですが、これもさっぱりとした武らしいのかなとも思います。武は余計な説明や描写を一切省いた作りで無駄に長ったらしいのが嫌だと思うけど、本作に関しては黒澤監督の「七人の侍」や「乱」みたいな時間をかけた大作でも観てみたかったなと興味本位で思いました。北野武監督の作り方的に  3時間でも長く感じるとは思えないから余計にね。いやぁそれにしても北野作品の新作を映画館で観れたことに嬉しさしかない。死ぬまで撮り続けてください
北野武監督、死ぬまでついていきますから。
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